なぜ公安警察は公安調査庁を下に見ているのか

勝丸円覚『諜・無法地帯 暗躍するスパイたち』(実業之日本社)

彼らも人に会う際には、プレゼントを渡したり、少額の現金を渡しているが、それらは外交機密費から出ている。警察庁出身だろうが、公安調査庁だろうが、外務省に身分を置き換えてから外国に赴任するので、活動の費用は外交機密費から出ることになる。どれだけの金銭を使えるのかについては、その在外公館の大使が決裁する。

日本の情報機関同士は、あまり仲がよくない。私のように、個人レベルで付き合いを維持している人もいるが、基本的にはそれぞれがライバル視をしている。ズバリいえば、公安警察は公安調査庁を下に見ているところがある。昭和時代に活躍した先輩の公安警察官が、公安調査庁の動きはターゲットを「ただ眺めているだけ」と言って批判しているのを聞いたことがあった。現場で鉢合わせすることもあるが、確かに動きの悪い職員もいる。ただそれでも、私は公安調査庁が毎年まとめている「国際テロ要覧」も参考にしているし、個人的に能力が非常に高い人たちがいるのを知っている。

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