景気低迷から脱するカギとなる

共産党政権は補助金政策などを強化し、アーム・チャイナなどの設計力向上、ハイシリコンやDAMOアカデミーのGPU開発力、SMICの製造技術向上をより強力にサポートするだろう。それによって、もし中国がチャットGPTなどに匹敵する生成AIの実用化を自力で実現すると、中国経済の持ち直し期待は高まるかもしれない。

問題は、生成AIの利用実現に向けたスピードと、不動産バブル崩壊に伴うバランスシート調整圧力、デフレ圧力など負のインパクトが増大するのとどちらが先行するかだ。現時点では後者の勢いのほうが上回っているように見える。

9月11日、大手不動産デベロッパー、中国恒大集団の発行したドル建て社債(2024年1月に償還)の流通利回りは5300%を上回った。主要投資家は、ファーウェイなど中国IT先端企業の成長力に注意を払いつつも、依然として不動産市況悪化が中国の景気低迷を長引かせる展開を警戒している。

経済環境の厳しさが強い中、習近平政権がどのようにAI利用を進め、景気の本格回復への期待を醸成するか、より多くの注目が集まるだろう。それはIT先端分野での米中対立にも大きな影響を与える。

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