筋肉量の減少ががん患者を衰弱させる

運動にはさまざまな種類があり、治療中や寛解期のがん患者にとってそれぞれ独自の効果があります。有酸素運動や筋力トレーニングは何十年も前からおこなわれていますが、近年、関心が高まっているのは、高強度インターバル・トレーニングやリンパトレーニングです。ここでは、これらの一般的な運動の種類と、それぞれに関連する研究の概要について説明します。

運動といえば、有酸素運動を思い浮かべる人が多いでしょう。エアロビックという言葉は「酸素に関する」という意味なので、有酸素運動というのは酸素摂取量を増やす運動全般を指します。歩く、走る、泳ぐ、自転車に乗るといった運動は筋肉により多くの酸素を供給するために、より深く、より速い呼吸を必要とするので有酸素運動となります。有酸素運動は最もよく研究されている運動形態で、これまで述べてきたようなあらゆる運動効果をもたらします。

ケリー・ターナー『がんが自然に治る10の習慣』(プレジデント社)

重りを持ち上げたり、抵抗バンドを引っ張ったりする筋力トレーニングは、何世紀にもわたってされてきた身体活動の一種ですが、がん患者を対象とした研究がおこなわれるようになったのはごく最近です。150ポンド(約70キログラム)のベンチプレスができるようになる必要はないので、心配しないでください。

研究によると、1、2、3ポンド(約0.5~1.4キログラム)のダンベルを定期的に使用すると、筋肉量の維持に効果的であることが示されています。化学療法や放射線療法を受けるがん患者を最も衰弱させる副作用は、筋肉量の減少とそれにともなう体力の低下です。その結果、生活の質を低下させ、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。

このテーマに関して実施された大規模な研究報告では、化学療法と放射線療法を受けているがん患者に対する筋力トレーニングは、治療に関連する副作用を減らし、筋力を大幅に増やし、低体重を維持し、体脂肪率を減らす安全な運動であると結論づけています。

(翻訳=佐々木加奈子)
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