現代医療を加えると出産可能性は9割か

ここまでは、不妊治療がほとんどなかった時代の「出産する力」を調べてきました。複数の調査研究より、それは、40代前半でも7割以上の人が持ちうるということはお分かりいただけたでしょう。

写真=iStock.com/west
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今日では、これに高度な不妊治療が加わります。40代前半の不妊症患者(全体の3割弱)に不妊治療を施した場合、前述の厚労省2014年データにある通り、彼女らのうちの5割が出産に至るとすると、最終的には85%以上の人が子どもを授かれることになるでしょう。

現在は、2014年時点よりも各段に不妊治療が進歩しています。40代前半であるならば、女性が希望した場合、9割以上が子どもを授かれるというのが本当のところなのではないでしょうか。

ただ、それでも20代に比べれば40代前半は出産確率が落ちていることは確かです。「大丈夫」という安心論を安易に広めるのは憚られるところでしょう。

そこで一つ、近い将来の政策課題のヒントを上げておきたいと思います。

今までの調査研究から導き出される結論は、40代前半であれば、7割の女性は自然妊娠で出産ができるということです。一方、不妊患者の率に関しては、20代なら数%のものが、30代中盤だと15%、40代前半だと30%弱へと上がっていく。これはつまり、「不妊可能性のある人は、加齢とともに劇的に出産確率が下がる」ということではないでしょうか。

もしそうだとするなら、相当早い段階で、自分は「不妊系に入るかどうか」を検査することが大切だと言えるでしょう。ところが、現状広く普及しているAMH検査やFSH法などの不妊検査は、確度に大いなる問題があります。そこで、不妊検査法の早急なる開発・普及を政策課題にすべきでしょう。

昨今では、遺伝子その他、さまざまな不妊予測因子が見えてきました。日本政府としてはここに政策投資をし、いち早く、リーズナブルに検査を受けられるようにすべきです。

もちろん、こうした検査を健康診断等で「強制」するのはいけません。あくまでも希望者に限定し、そして、女性だけでなく男性の不妊検査も実施すべきと考えています。

この話については、回を改めてまた、詳細を書かせていただきます。

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