大事なことは日本語で書いてある
「Foreign Friendly Taxi(フォーリンフレンドリータクシー)」をご存じだろうか。外国人専用のタクシーで、2016年、京都駅に全国初となる「専用のりば」ができた。
一見、外国人にフレンドリーなサービスなのかと思える。しかし、よく見てみると外国人旅行者が不便そうにしている。何が起きているかというと、台数が少ないのだ。
複数の荷物を抱えた外国人旅行者が待っているものの、一向にタクシーがやってくる気配はなかった。一方で、日本人向けの乗り場をみると、タクシーがたくさん並んでいる状況であった。
つまり、その名前から「フレンドリーで使いやすいだろう」と考えて外国人旅行者が並んでみるものの、実際には使い勝手が悪いのである。
もちろん混雑具合は季節や時間帯によっても異なってくるが、こうした状況下では外国人旅行者に対して「一般タクシーのりば」を使うよう促すようなオペレーションをしたほうがいいのでは? と感じ、よくよく見てみると、「お急ぎの方は一般タクシーのご利用もご検討ください」という但し書きが貼られていた。
そもそもフレンドリータクシーの目的は、その名の通り「おもてなししよう」というものであるはずだ。しかし、この貼り紙からは、そのような思いを感じることはできなかった。
私は日本人、外国人と区別せずに対応するのがベストではないかと考える。区別することによって、一般タクシー側の“われ関せず”が助長される可能性があるからだ。
システムのアップデートができない
いまや外国人旅行者はほとんど全員がスマホを持っている。彼らはグーグルマップなどのアプリを使って、「ここに行ってほしい」と指差しをするのが普通だ。そこでは言語の壁はあまりない。
もちろんタイ語やハングル、アラビア語など、どんな読み方をするのか予想もできない言語で表示されているケースもあるため、言語の壁がスマホによって一概になくなるとは言い切れないのかもしれない。しかし、会話をする必要なく行き先がわかる配車アプリも広まりつつあるなか、言語の壁を言い訳にできない状況は確実に広がっている。
こうした良かれと思って作ったシステムが、時と場合によってマイナスの作用を及ぼすことは少なくない。
大事なことはシステムを作っておしまいにするのではなく、運用の段階に入ってからも本当にそれが最適なのかを検証し続けたり、状況に応じてオペレーションを変えられるよう「柔軟性」をもたせることだ。
ちなみに、この「Foreign Friendly Taxi」というシステムは2016年に始まり、アンケート調査を経て2017年から本格運行に移行したというが、アンケート調査の内容を見ると「良かったところ」や「役立ったところ」に関する項目が目立っていた。もう少し課題を抽出し、改善につなげようというものであってもよかったのではないかと感じる。