このようにマインドリセットをすれば、世の中の高齢者みんながお金を使うようになるでしょう。そして、個人金融資産の大半を持っている高齢者たちがお金を自分のためにしっかり使うようになったら、消費が活性化していっぺんに景気もよくなるでしょう。
さらに、日本の高齢者がどんどんお金を使うようになることで、企業はお年寄り向けの車を開発したり、パソコンを開発したり、住宅設備を開発するようになります。消費者のニーズに応えようとする企業の営利活動として当然の働きが起こることで、高齢社会に適合したサービスや商品が一気に増えます。
「やっておけばよかった」という後悔はもうしない
だからこそ、年をとったらお金は使っていい。
結局のところ、人間、死ぬ間際に残るのは「思い出」しかないのです。
「もっとおいしいものを食べておけばよかった」「世界一周旅行に行っておけばよかった」「退職金で、欲しかったポルシェを買っておけばよかった」……やりたいことがあるなら、全部やっておくべきです。
お金は使うもの、使ってこそ幸せになれるものだとマインドリセットしてください。
いつまでも「子ども扱い」をする日本
次にマインドリセットを実行したほうがいいのは「子ども」です。
「日本って、おかしいな」と私が感じるのは、わが子がいくつになっても、いつまでも「子ども扱い」をするところです。
高齢の親と引きこもりの子どもからなる世帯のことを指して「8050問題」という言い方がありますが、親が80歳になっても、なお50歳の引きこもりの子どもの面倒を見ないといけないといった状況は、悲劇としか言いようがありません。
引きこもりでなかったとしても、一生独身の人がたくさんいます。たとえば50歳になった時点で一度も結婚したことがない人の割合を「生涯未婚率」といいますが、男性の生涯未婚率はなんと28.3%(2020年データ)。じつに3割が一生独身です。
それでも自活していればいいのですが、実家暮らしで、仕事もやめてしまうなどして、親がいつまでも面倒を見続ける状況になっている家庭も多いのです。