LGBTQの権利を認めずカナダのトルドーに説教されたか

G7でカナダとイタリアの二国間会談を行った際は、トルドー首相が突然何の前触れもなく、予定にない議題のLGBTの権利について「イタリア政府がとっている立場を懸念し、公式に非難をした」というニュースが飛び交った。

LGBTQの権利に関して欧州基本権機関(Fra)が発表したレポートによると、イタリアは差別指数が19%という最も高い指数を示した国であった。EU諸外国、フランス、スペイン、ドイツなど、ほとんどのEU加盟国には、LGBTQに対して憎悪と差別を禁止する法律が存在しているが、イタリアには憎悪と差別を禁止し、それを罰する法律はない。

カトリック教徒のメローニはLGBT法案には反対の立場

一児の母でもあるメローニ首相は、人の生死観、倫理観を率直に述べる女性で、敬虔けいけんなカトリック信者である。首相になる前の選挙運動中も、人工妊娠中絶や同性婚、ジェンダー思想やLGBT法案、大量移民受け入れに対して、はっきりと「NO!」という立場をとってきた。

イタリアはローマ・カトリック教会の総本部のお膝元で、国民の87.8%が自らをカトリックであると見なす。最大教派はキリスト教である。

宗教的戒律を守る敬虔なカトリックの信仰心とイタリアの社会文化的バックグラウンドを鑑みたとき、左派ポピュリズムから右派保守台頭への変化は大きく、価値対立の現れは顕著であった。メローニ首相の掲げる国民保守主義は若者にも支持されていると言えるだろう。

写真=AFP/時事通信フォト
2023年5月18日、広島市の平和記念公園で岸田文雄首相と握手するジョルジャ・メローニ伊首相