空腹に駆られたホッキョクグマの大群が襲来した

ラブラドール地方はカナダ北東部、ニューファンドランド・ラブラドール州の一部で、グリーンランドにもほど近い。

同地方で大規模な飢餓が発生し、人間同士の共食いが起きたところに、さらに空腹に駆られたホッキョクグマの大群が襲来したというのである。

この記事は新聞各紙の耳目を集めたらしく、報道が過熱し始める。

その中でもっとも詳細に報じているのが、『ザ・サン』紙であった。以下、同紙の記事を引用する。

4人の若者を除き、すべての人間をむさぼり喰った…

「ホッキョクグマに喰われる――イヌイットの村が、飢えに苦しむ獣たちの餌食に」

ラブラドールで3500人が飢えと野獣に殺された。先住民は飢饉に駆られて死んだ者を食べた――沿岸集落は消滅した。

セント・ジョン、ニュージャージー州、7月30日――ラブラドールでの恐るべき飢餓に関する報告が届いた。それは最近になってようやく知られるようになった、身の毛もよだつような熊による襲撃の悲話である。

約28家族が暮らす集落では、住民は生命を維持するために最低限必要な食料さえ欠乏し、非常に消耗しており、野獣に対して自衛のために槍を構えられるほど体力の残された者はほとんどいなかった。

その結果、熊は集落を一掃し、近くの岩によじ登って助かった4人の若者を除いて、すべての男性、女性、子供をむさぼり喰った。

写真=iStock.com/powerofforever
イヌイットの村が、飢えに苦しむ獣たちの餌食に(※写真はイメージです)