日本以上に深刻な韓国、中国の現実

それを実証したのが韓国と中国です。韓国は、0.78(2022年速報)という出生率世界最下位を記録し、中国もまた出生率が2021年時点で1.16(国連WPPより)と日本を下回りましたが、その大きな要因は両国の婚姻数の激減です。

日本、韓国、中国とで婚姻数の推移を比較してみましょう(図表2)。

韓国の婚姻率(人口千対)は、1993年まで9.0もありました。それが、2021年には3.8と半分以下にまで下がっています。日本で婚姻率が9.0以上だったのは、第2次ベビーブーム直後の1974年です。2021年の日本の婚姻率も4.1にまで下がっていますが、日本が約50年を要した下げ幅を韓国は約30年で到達してしまったことになります。

さらに深刻なのが中国です。中国は2013年の婚姻率9.9から、2021年5.4にまで急降下しました。わずか10年弱で半減というスピードです。この急激な婚姻減が、韓国と中国の出生率の急減の直接的な原因といっても過言ではありません。

結婚が作られず、壊されまくっている

婚姻数が激減している一方で、韓国と中国に顕著なのが離婚の激増です。3国の特殊離婚率の推移(図表3)を見れば一目瞭然ですが、2020年の韓国の離婚率は52%、中国は53%です。「3組に1組は離婚」という日本より圧倒的に多い「2組に1組が離婚」しているわけです。しかも、推移では、日本は2000年代から35%程度で一定ですが、韓国は2016年から、中国は2013年から急増しています。

結婚が作られず、壊されまくっている。韓国と中国で起きているのは、まさに拙著のタイトル通りの「結婚滅亡」であり、こんな状態で出生数が増えるはずがないのです。

日本以上の厳しい競争を余儀なくされている韓国と中国の若者は、それがために恵まれた家の子とそうでない子の格差が広がり、競争に勝った者だけが結婚も出産も家も手に入れられるという、さながら「勝者総取り」が起きています。

韓国では2011年、若者が、恋愛・結婚・出産を放棄する「三放世代」という言葉が生まれましたが、今やその3つだけではなく、就職もマイホームも夢も人間関係すらも放棄し、すべてを諦めるという意味の「N放世代」といわれています。中国においても、「寝そべり族」という言葉が話題になりました。若者の一部が競争社会を忌避し、住宅購入、結婚、出産を諦めることを指します。