国産車にブラウン管でも借金200万円
大手情報系企業に勤務する古川卓治氏(仮名、40歳)も、「名ばかり高収入」の一人だ。新卒で就職したメーカーの待遇に不満を持ち、入社から3年後に現在の会社に転じる。昇格を重ね、年収は4年前に1000万円を超えた。4000万円で購入した駅から徒歩15分のマンションに、専業主婦の妻と小学4年の娘と3人で暮らす。
「大学の同期のなかでは比較的もらっているほうですね」
古川氏はそう自己分析したが、暮らしぶりは質素に見える。愛車は30万円で購入した国産中古車。冷蔵庫と洗濯機は独身時代に買った年代物。テレビはまだブラウン管だ。酒、タバコとは無縁。毎日の昼食は700円程度。それなのに懐が寒い。同世代のサラリーマンが、どのように家計をやり繰りしているのか不思議でならないと困惑する。
「うちのマンションにも2人の子供を私立に通わせて、外車に乗っている人がいます。勤務先を聞いても、ごく普通の会社なんですね。借金をしている様子もないし」
毎月の手取りは38万円。まず15万円を生活費として妻に渡す。住宅ローンと光熱費、娘の教育費などを差し引くと残りはわずか。古川氏は「自分の小遣いは5万円程度。贅沢をしているつもりはないんですが」という。