「本物じゃないと認められない」

「こういうコミュニティに加われたことを光栄に思います」大木洵人氏。(写真提供:TEDxTOKYO)

「客席にいる方々も、本来は壇上に上がってプレゼンしているような人ばかりで……ちょっとどきどきしました。以前別のイベントでプレゼンテーションをしたときに審査員だった方もいて」と語るのは、プレゼンテーターの1人、大木洵人氏。ユーザー参加型の各国語手話事典の開発などで、世界的な社会起業家のネットワーク「アショカ・フェロー」に東アジアから初めて選ばれた彼でさえ、「本物じゃないと認められないという緊張感」を感じていたとか。

「その一方で、若造扱いせずに温かく迎えてくれたな、という印象もあります。客席が受け身じゃなく、前向きで。こういうコミュニティ、しかもグローバルな広がりのあるところに加われたことを、すごく光栄に思います」

「サロンというほどクローズドだとは思いません。情報発信力がある人、志や行動を共にできる人を選んでいるとは感じますが」というのは、招待者の一人として客席にいた、日本MITエンタープライズフォーラムの理事長でサイバー大学の学長でもある川原洋氏。どんな会社にいるか、どこのポジションにいるかではなく、どういうことをしているかを重視しているようだとも氏は指摘する。実際、プレゼンテーターも聴衆も、大企業のエリート社員というよりは、YouTubeにアップしたインディーズ的コンテンツが世界中から評価されているような人が多かった。組織の力ではなく相当な「個の力」が、このメンバーシップに加わるには求められそうだ。

「社会をよりよく変えようとしている人が知っておくべき事を、アイデアとして広げていく。とにかくそこを徹底して追求しているのだと思います」と川原氏は言う。入場料や昼食代、イベント終了後のパーティー代などはすべてパートナー企業からの協賛金でまかない、聴衆――ここまでくれば「参加者」と呼びたい――には一銭も支払わせないのも、「参加して欲しい人に参加してもらう」という運営側の意志の表れだろう。

とても魅力的な、だがそれなりの要求水準はあるコミュニティ。もしあなたが、「広めるべきアイデアの共有」というコンセプトに賛同し、かつ自らも十分なサイズのアイデアと情熱の持ち主であるなら、いつかあなたのもとにもTEDxTokyoの招待状が届くかもしれない。

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