「お前は使い物にならない、堕落人間だ」「頭が悪い」

何より、根田さんが受けた仕打ちの中で最もひどいのは、アベルから心を病むほどの強い言葉を浴びせかけられたことです。

「自分のアベルは、めちゃくちゃな人で、こちらの意見を聞かない人でした。自分に非があっても、謝らない。『こうした方がよいのでは?』と提案しただけで『黙れ! これでいいんだ!』といわれました。感情をぶつけられることもよくありました」

この他にも「お前は使い物にならない、堕落人間だ」「頭が悪い」「実績を出さないものは、人間ではない」「お前の先祖が俺の先祖に悪いことをしたから、罪滅ぼしをしているんだ! 俺のために働くんだ!」「お前が頑張らないと、お前の先祖は地獄でずっと苦しむ」などさまざまな言葉の暴力を受けてきたといいます。

教義上、アベルの言葉は神様の言葉として絶対に従わなければならないものとされています。根田さんも「(アベルの言葉に)従わず、逆らえば、地獄に落ちる、不幸になるという思いがあったので、受け入れて従うしかなかった」と話します。

教団には伝道やお金集めのノルマがあり、それを果たせないと罰ゲームもあります。

「文鮮明教祖の写真を前に、敬礼(両手を額にクロスさせて、頭を地面につけるようにしてお辞儀をする行為)を50回~100回させられました。水行(水をかぶる)、長時間の祈祷をするように言われたことも。私自身、人前で何かをすることは苦手なのですが、ノルマが果たせなかった罰として、皆の前で漫才をさせられて笑いものになりました。本当に嫌でした」

根田さんがつらい気持ちを抱えて、信者として過ごしてきたことを思うと、心が痛くなります。その結果、精神的に病んでいきます。

写真=iStock.com/KatarzynaBialasiewicz
※写真はイメージです

「心は限界で教団を辞めようと思いましたが、踏ん切りがつきませんでした。ある時アベルから『文鮮明は2013年1月に亡くなる』と話があり、教祖が亡くなるまでは、続けようと思いました。でも、突然2012年9月に亡くなりました。あれっという感じでした」

その後、彼は離教しますが、その時には「うつ」状態になっており、今も病院に通っています。

「今も、まともに働けない状況が続いています」と悔しそうに話します。

信者になったものから、お金を絞り取るだけ取り、教義の名の下にさまざまなひどい言葉を浴びせかけて、心を追い込み、精神を破綻させる。

心を救うべきはずの宗教が、その人の心を壊してしまっている。これは根田さんに限ったことはではないはずです。こうした信仰指導をしてきた団体が、本当に国の認可を受けた宗教団体として存在し続けて良いのか。私たちはしっかりと、その行方を見極める必要があります。

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