ペンダント、天雲石、壺、高麗人参茶…総額で500万円

筆者が、ライフトレーニングで講師をしていた頃はセミナー前には、必ず文鮮明教祖と、世界基督教統一神霊協会(統一教会)という宗教団体であることを黒板に書いて、しっかりと説明していました。しかし、彼の入信した頃は、メシヤの名前は伝えるけれども、旧統一教会ということを告げておらず、より悪質化した教化方法になっているといえます。

「4日間セミナーでは、感動というものはありませんでした。ただ『本当に文鮮明がメシヤなのか?』など、先のことを知りたい気持ちも出てきました。そこで、ビデオセンターの上の階で行われているという『新生トレーニング』を紹介されたので、参加することにしました」

新生トレーニングは、昔から行われる信者教化手法の一つで、泊まり込みで教義を学ばせていきます。

さらに次の根田さんの言葉に、驚かされました。

「学んでいるところが、統一教会と知らされたのは、新生トレーニングに通ってから2週間ぐらいたってからなんです。そこで初めて教団名を伝えられて、渋谷の松濤本部に連れて行かれて礼拝に参加しました。ここで初めて、自分は宗教団体で勉強していたことを知りました」

新生トレーニングの中盤まで教団名を告げず、筆者の信者時代より悪質な正体隠しの手立てが行われていた実態に絶句しました。

その後、根田さんは「通教」という部署に所属します。ここでは平日に仕事をしながら、土日に街頭などに出ての伝道活動をします。教団がメンバーに求めるのが稼いでくるお金です。

根田さんも、アベル(神に近い立場の人:上司)である班長との面談を通じて、月の給料を把握されて、教団の商品を積極的に購入するようにいわれています。

「これまでに、数十万円の着物や数百万円のペンダント、天雲石、小さな壺、高麗人参茶などローンを組んで購入しました。総額で500万円ほどになります」

写真=iStock.com/chengyuzheng
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よく話を聞くと高額なペンダントだけは「ビデオセンターに通い始めて数日後、連れて行かれた展示会で買わされた」ということでした。入会させてまもなく、人の良い根田さんなら、容易にお金の出せる相手とみて、商品を売りつけていたという、ひどい勧誘実態もみえています。

当時、給料20万円ほどのうち、10万円の献金を払い、班長(通教の責任者の一人)から「ボーナスはいつ入るの?」と聞かれて、摂理献金などの名目で40万円を払ったこともあります」といいます。根田さんが教団を辞める頃には、手元にはお金はほとんど残っていませんでした。