2016年以降毎年10ポイントずつ若年層比率が増加

それにしても、どうして40代以下の現役世代の相談者比率が急に上昇したのでしょうか。

もう一度グラフを見てください。2016年以降この年齢層の比率は次のように変化しています。

2016年 16.1%
2017年 28.3%
2018年 39.0%
2019年 44.3%
2020年 55.8%
2021年 55.8%

2016年から2018年にかけて毎年10ポイント近い増加のペースで相談者比率が上昇し、2018年から2019年にかけては鈍化したものの、2019年から2020年にかけて再び上昇ペースが加速しているように見えます。

老後不安にあおられた40代以下の現役世代

その当時の社会情勢を振り返ると、恐らく漠然とした「老後不安」の広がりが、40代以下の相談者比率上昇の背景にあると思われます。

たとえば、2014年にNHKスペシャル「老人漂流社会 “老後破産”の現実」が放送され、大きな反響を呼びました。独り暮らしの高齢者が600万人に迫る勢いで急増し、その半数近くが生活保護水準以下の年金収入で暮らしているという内容に、多くの人がショックを受けました。

2015年には、「年収400万でも将来、生活保護」と帯にうたった『下流老人』という新書がベストセラーになりました。キーワードのインパクトと相まって、日本社会において社会的セーフティーネットが揺らいでいる現実を多くの人が痛感しました。

さらに、2019年6月には、金融審議会の市場ワーキング・グループが「高齢社会における資産形成・管理」という報告書を公表。その文面の一部だけが切り取られてしまったかたちでしたが、「老後2000万円問題」が大きな社会問題になりました。