スケールメリットが生まれないから高額化する
だが、国産装備で本当に一線級の装備を持つ大国の脅威に対抗できるのか。国産となれば、少数生産が必至のため、高額になる。また、実戦経験もない国産装備を外国は買いたがらない。基本的には自衛隊だけが買うことになる。そうなるとスケールメリットが生まれず、さらに高額になるという負のループに引きずり込まれる。
それだけじゃない。国産装備であれば、外国軍の技術的な進歩に対応するための改良経費も日本が負担しなければならない。一方、アメリカ製装備やアメリカ中心の共同開発であれば、世界中で何千発と撃つことになり、失敗の中から教訓をくみ取って次の開発に生かせることになる。
国産にこだわり続ければGDP比2%でも足りなくなる
こうしたスケールメリットや改良のためのコストも含めて考えれば、国産はかなり割高な買い物になるはずだ。やってやれないことはないが、今検討されているGDP比2%でも足りないことは明白である。防衛省はこの点も含めて国民に説明しているだろうか。
とにかく「国産は正しい」「国内防衛産業へのカンフル剤だ」という前提で物事を進めていないだろうか。防衛装備は100年に1度、使うか使わないかの買い物だ。詳細な事前検討と必要な説明なしに高額な税金を注ぎ込むことは許されない。こうした点こそ国会やマスコミは指摘し、論議し、辻褄が合わなければ建設的な追及をするべきなのだ。