では、未婚男性は低年収しかいないのか?

2018年の内閣府の「少子化対策に関する意識調査」では、20~40代の子無し夫婦の年収分布が掲載されていますが、これによれば、ボリュームゾーンが夫は400万円台、妻が100万円未満となっており、やはり結婚においては「結果としての女性の経済力上方婚」は健在だといえるでしょう。だからこそ、冒頭のグラフ(図表1)のような、「金を稼げない男と金を稼ぐ女が生涯未婚」という結果となるわけです。

しかし、そもそも年収別の生涯未婚率のグラフだけを見ていると勘違いしてしまいがちなので注意が必要です。低年収男性の未婚率が高いからといって、世間の未婚男性は低年収だらけなわけではないのです。これは割合の話であって実数ではありません。

実数では「年収500万円以上」がもっとも余っている

生涯未婚率対象年齢である45~54歳男女の未婚人口を年収別にみると、未婚男性でもっとも人口が多いのは500万円以上の年収層になります(2007~2017年の10年推移)。これは2007年も同様で、比率にしてしまうと小さくなるのですが、実数としては「婚活女性が高望みといわれてしまう年収500万円以上の未婚男性」がもっとも余っていることになります。

一方、女性の場合は、未婚率と同様に400万円以上の未婚人口がもっとも多くなっています。つまり、未婚率ではなく、未婚人口実数だけでみてしまうと、むしろ「金を稼ぐ男女は結婚できない」ということになってしまいます。

どうしてそういうことになってしまうのでしょうか。

当然ですが、そもそも全員が「結婚したい」と思っているわけではありません。<岡村隆史さんの「年の差婚」を羨ましがる中年男性に降りかかる現実>の記事でもご紹介した通り、18~34歳までの年齢でも「結婚に前向き」なのは、男性4割、女性5割程度で、これは1980年代から変わっていません。そして、結婚意欲は、加齢によって下がっていきます。

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年収が増えても結婚意欲は下がっていく

2020年1都3県の未婚男女に対して私が実施した調査によれば、20代では「結婚意欲」は男性44%ですが、50代では24%に低下、女性も20代では59%も「結婚したい」と思っていますが、50代になると15%になってしまいます。

もちろん、これは、さんざん今まで婚活したけれどマッチングしなかったという諦めの人もいるでしょうし、そもそも最初から結婚しないという選択的非婚者もいます。