地方経済の衰退が「空き家問題」を加速させる

コロナ禍による観光ニーズの減少は地方経済にダメージを与えています。ゼロゼロ融資の打ち切りにより、経営が悪化する中小企業も地方にはたくさんあります。

地方衰退を止められない以上、いずれ破綻が待ち受けているのは自明の理です。

地方経済の危機は不動産業界にも表れています。

日本では全国的に空き家が急増しており、2018年に行われた総務省の「住宅・土地統計調査」では、全国の空き家数は約849万戸、空き家率13.6%と、約7戸に1戸が空き家という状況です。

写真=iStock.com/Wako Megumi
地方の「限界不動産」が問題になっている

空き家問題はもちろん首都圏においても問題ですが、衰退に直面している地方都市や、山間部のほうがより深刻です。

前述の熱海市の空き家率は、同じ2018年の調査で52.7%と、非常に高い水準となっています。

熱海の場合、不動産の所有者があまり貸したがらない等、地域固有の事情もあるのですが、地方の衰退と空き家問題がリンクしているのは間違いありません。

熱海では商店街の活性化など、まちづくりの成果も表れてきていますが、同じ温泉地である栃木県鬼怒川の問題はより深刻です。

修学旅行など団体旅行ニーズによって発展してきた鬼怒川温泉は、ニーズの減少によって衰退に直面し、旅館が廃虚化して問題になっています。