まずは本人の考えを聞く

その上で、まずやるべきことは、普段からその部下の話をしっかり聞くことです。こうした部下たちは、見方を変えれば「上から言われたからといって、それに盲目的に従うことをよしとしない」「自分のやりたいことや自分の考えを持っている」とも言えます。まずはそうした、「本人がやりたいこと」「本人の考え」をしっかり聞いて理解します。

話を聞くときは、くれぐれも相手が話す内容を否定したり、評価したりしないことがポイントです。途中でさえぎったり、「昔はこうだった」「我々が若いときはこうだった」など、自分語りをしないこと。聞き役に徹し、まずは相手に、思いのすべてを心置きなく吐き出してもらいます。

役割を自覚してもらう

上司から部下に何かを伝えるのは、話をしっかりと聞いた後です。

会社という組織の中では、一人ひとりに求められる役割があります。その部下が、どんな役割を求められているか、その役割に基づいてどんな行動をとることが期待されているのか、上司が言葉にして教えることが必要です。頭ごなしに「こうしろ」と行動を指示するのではなく、期待されている役割を自覚させるところから始めるわけです。

具体的には、わかりやすい数字的な目標を与えて、その達成までをサポートしましょう。

ポイントは、それを部下がやることで、どういった効果があるのかを見せることです。例えば、「1日に10件アポ取りの連絡をしろ」と言うだけでは、「なぜ自分がそんなことをしなくてはならないのか」と反発するばかりかもしれませんが、そこで、なぜアポを取ることが営業活動の中で大切なことなのか、その行動が次にどんな成果につながるのかを丁寧に説明し、納得感を持ってもらったうえでアクションを促すのです。

資料作りの指示も、それがほかの人にどう役立つのか、クライアントにどんなメリットがあるのかなども含めて説明します。部下の行動が、どのように周りの人の幸せにつながっているか伝わると、部下の側もモチベーションが上がりやすくなります。

経験が少ない若手は、目の前のことしか見えないことが多いですし、自分がやっていることが、会社全体の中でどんな役割を果たしているのか、全体像が見えていないことが多いものです。昔であれば、それが見えていなくても「とにかく文句を言わずにやれ」で済んだかもしれませんが、今の若手はそういうわけにはいきません。本人の話を聞いたうえで、仕事の位置づけや役割を言葉で説明する必要があります。こうして本人が納得感を持てば、意欲を持って仕事に取り組めるようになるはずです。

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