そのため鉾田市の別荘地においては、ほんらいの別荘地の範囲やその開発経緯・年代とは関係なく、ゴミ集積場を必要とする近隣の住民たちが、独立した自治会を運営している。

だが、僕の自宅がある横芝光町の旧別荘地にはそれもない。

わが家の分譲地の事例

では、ゴミ収集はどうしているのかいうと、横芝光町の清掃事業を管轄する山武郡市衛生環境組合(千葉県は広域行政が発達しており、ごみ・水道・し尿などのインフラ事業や消防などは、自治体単位ではなく広域行政組合が管轄している地域が多い)の方針なのか、ゴミ集積場は公道上に無造作に設置されているところが多く、わが家がある分譲地も、先にも述べたS社名義の残余地が集積場として利用されているため、利用にあたって自治会加入の必要はなかった。

僕はこれまで暮らした土地で、ゴミ出しをめぐって近隣住民とトラブルになった経験はないが、それでも気兼ねなく集積場を利用できるのは気楽なものだ。

掃除当番もないので、自宅のすぐ前にある集積場は、野良猫やカラスにゴミをあさられ食い散らかされてしまったときなどはわが家で掃除している。

写真=iStock.com/yorkfoto
※写真はイメージです

率直にいって、いまの時代、自治会に加入できないことを大きなデメリットとして考える人はそれほど多くないのではないか、という気はしなくもない。

限界分譲地にかぎらず、都市部におけるミニ開発の分譲住宅地でも、開発時に周辺地域との折衝がうまくいかず、分譲地ごと自治会に組み込まれていないところもあるし、自治会費の私物化や転入者の排除などトラブルの話も多いので、とくに別荘地での永住を考えるような人は、そもそも加入を望んでいないかもしれない。

側溝と排水のありがたさ

千葉県においては、自治会への加入率が6割にも満たないような市町村も複数あるので、この加入率では自治会機能が地域社会に果たせる役割は限定的であろう。しかし、近隣住民との対人関係にかぎった話であればそれでよいかもしれないが、分譲地のハード面の維持・整備となると、そうはいかないのである。

もともと財政基盤の弱い小規模自治体では、道路清掃や路肩の草刈りなどの簡易な作業は、たとえ公道であっても「地域美化活動」などの名目で地域住民のマンパワーに依存していることが多い。

また、それ以前の話として、そもそも民間の分譲地における共用部は、地権者の私有地であるケースが多く、当然ながらその維持管理は住民の責任となる。これについては、先にも紹介した、以前住んでいた八街の分譲地と、現在暮らしている横芝光町の分譲地でひじょうに対照的なので、ここでは僕の経験を例にあげたい。

八街の分譲地は、分譲地内の道路こそ公道であったものの、道路の路肩にある排水用の側溝は私有地部分にふくまれており、住民自身の手で側溝の整備・清掃をおこなう必要があった。