「あやしいがん治療」見分けるポイント

がん治療において、次のようなアピールをしていたら要注意です。

・○○免疫クリニック、最新○○免疫療法……とにかく「免疫」という言葉で迫る
・○○%の患者に効果……藁をもつかもうとする患者に高い確率で治るとする、あるいは「消える」「副作用がない」と断言
・体験談やよく効いたという事例満載
・奇跡の○○治療、末期がんからの生還
・健康保険が効かない……自由診療で高額

とくに自由診療で健康保険が使えないのは、もちろん標準治療ではありません。

ただ、科学的に有効性のある治療法なら標準治療になっているはずです。

また、もしその治療法がまだ研究段階(臨床試験や治験)であるなら、研究を遂行できるしっかりとした機関でおこなわれ、治療にはあまりお金がかからないはずです。

なお「免疫チェックポイント阻害剤」への期待に便乗するとか、「免疫チェックポイント阻害剤」をごく少量使ったりして、効果不明の免疫細胞療法まで免疫療法を名乗って効果をアピールしている場合もあるので要注意です。

「アガリクス」効果がないどころか安全性も疑問

世の中には「抗がんサプリ」と称するものがあります。

アガリクス、メシマコブ、フコイダン、プロポリスなどです。

アガリクスはその代表で、ハラタケ属のヒメマツタケ(カワリハラタケ)というキノコの一種です。

写真=iStock.com/ahirao_photo
アガリクスなどキノコ系の抗がん作用は実証されていない(※写真はイメージです)

アガリクスなどキノコ系の抗がん作用は、ベータグルカンが免疫機能を活性化して、間接的にがんを攻撃するといわれています。

ところが「抗がん効果がある」「免疫力を高める」などと強調されていながら、人間に対して効果アリという信頼できる十分な情報が見当たりません。

多くのがん患者が利用してきたのに、人で効果を証明する臨床研究がなかったことに驚かされます。

アガリクスのがん治療効果を米国食品医薬品局が承認していないこともあって、人間を対象にした臨床試験のデータはありません。

効果を証明するための臨床研究では、同時に有害作用もチェックされます。

したがって、臨床試験のデータがないということは、安全性も十分確認されていないと考えるべきです。