児童扶養手当の減額が追い討ちに

児童扶養手当─―これはまさに母子家庭の生命線と言っていい。子育てをしていたとき、この手当にどれほど助けられてきたことか。生活費の足しになるだけでなく、医療費が無料になったり、水道料の基本料金が免除になったりと、生活のさまざまな場面で母子家庭生活を下支えしてくれるものだった。

当時、子ども2人で月額4万円ちょっと、それが年に3回、4カ月分がまとめて支給となった。この日をどれほど待ち望んだことだろう。子どもの怪我や病気、自分の歯科治療など、医療費が免除になることの恩恵はどれほど大きかったことか。

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1985年の前後、「妻の座」は優遇され母子家庭にはより過酷な制度が導入されていった。(※写真はイメージです)

児童扶養手当制度は1961年に制定、支給には所得制限があるものの、何度か改定されても基本、一律の金額が支給されてきた。

ここに楔を打ち込んだのが、1985年だった。国は全額支給の他に、一部支給というシステムを導入、多くのシングルマザーの反対にもかかわらず、制度改定を行い、給付額の大幅な削減を成し遂げた。

所得が171万円未満なら月額3万3000円の全額を支給、所得が171万円以上300万円未満なら2万2000円の一部支給という、児童扶養手当に二段階制を初めて持ち込んだのだ(以降今日まで、より残酷な方向へ変遷を続けている)。夫の扶養から飛び出した女に、払う金はもったいないとばかりに。

この1985年の児童扶養手当法改正は、外在的には財政支出削減を目的とし、内在的目的は母親の就労を通じて児童の福祉増進を目指す制度に改めることにあったとされる。外在的にはわかるが、母親の就労がなぜ、児童の福祉増進に繫がるのか。支給金額を減らされて生活苦となれば、児童の福祉増進どころではない。