効果がないどころかデメリットのほうが大きい
また、抗ヒスタミン薬は、痙攣を誘発しやすく、特に乳幼児には不整脈や呼吸抑制のリスクも伴います。生後6カ月から5歳未満の乳幼児には急激な体温の上昇(発熱)による熱性けいれんが起こることがありますが、抗ヒスタミン薬によって発熱から痙攣発現までの時間が短くなり、かつ、痙攣発作の持続時間が長くなるともされています。
日本では熱性けいれん患児が多く、その理由に、はな風邪に対する慣習的な抗ヒスタミン薬投与が影響していると考えられ、成長期の脳の発達にも影響を及ぼしている可能性が指摘されています。
鼻炎止めとしてはもう一つ、「去痰薬」がよく処方・内服されています。こちらの効果はどうでしょうか?
結論からいうと去痰薬単剤で鼻炎軽減効果はありません。抗ヒスタミン薬との2剤併用、アスベリン®などの咳止めとの3剤併用でも効果はないとされ、風邪による鼻炎をスッキリさせるような効果は期待できません。
去痰剤は、特に喘息があるような小児では、気管支の筋肉(平滑筋)を攣縮(収縮)し粘膜がむくみ、空気が通りにくくなる気管支攣縮を誘発し呼吸困難を招く可能性があり、デメリットが勝ります。2歳未満には、喘息などがなくとも安全性の観点からフランスなどの海外では使用が中止されています。
結論として、「はな風邪」に鼻炎止め(抗ヒスタミン薬、去痰薬)は、効果がないどころか、デメリットのほうが勝る薬と考えられます。