8つの事例だけでも2020年には削減目標達成が可能

表1は、ICCAが、この報告書をまとめるにあたって、LCAの手法でCO2排出量削減効果を推計した8製品分野(102製品事例)の詳細を示したものである。たとえ化学製品の生産過程でCO2が排出されたとしても、それらの製品について図1のような形でCO2排出量を考慮すれば、生産過程で排出される規模を上回るCO2の排出量削減を実現することができる。これが、化学業界が提唱する、LCAの手法をとり入れた地球温暖化防止策である。

地球温暖化防止のために導入される国別アプローチによるCO2排出量に対する規制は、産業ごとの排出量抑制と結びつけて実施されることが多い。現在、日本で進められている、京都議定書が定めた温室効果ガス排出量削減義務を達成するための取り組みも、基本的には、産業ごとに目標を設定したうえで、それを遂行するという形をとっている。その方式が、一律に化学産業にも適用されると、産業ごとのCO2排出量抑制の論理にもとづいて、同産業の生産規模は縮小される。化学製品の生産縮小は、LCAの手法をとり入れた地球温暖化防止策の推進に否定的な影響を及ぼす。ICCAは、このような負の連鎖が起こることを阻止するために、ラクイラサミットにあわせて報告書を発表したのである。

日本化学工業協会は、ICCAにおいて、中心的な役割を果たしている。その日本化学工業協会は、昨年7月に「温室効果ガス削減に向けた新たな視点~国内における化学製品のライフサイクル評価~」と題する、注目すべき報告書を作成、公表した。