慣習にこだわらない自由な進学先選び
愛子さまは、学習院初等科から女子中等科、女子高等科、大学とストレートに皇族コースを進むことを選んだ。眞子さま(現在の小室眞子さん)や佳子さまがICU(国際基督教大学)へ、また、英国の教育機関へと進まれたのだから、皇位継承権を持つプリンセスでもない愛子さまに、宮内庁が学習院以外の可能性を閉ざしたとは思いたくない。
一方、エリザベート王女は、高校途中で英国の寄宿学校に転校し、国際バカロレア(世界的に通用する大学入学資格試験)を受験。2020年5月にはコロナ禍でいったん帰国するも、その間に、王立陸軍学校の特訓コースを履修。帝王学の一部ともいれる軍隊経験も積み、昨年秋からオックスフォード大学で歴史と政治学を学んでいる。
まだ若き、秋篠宮家長男の悠仁さまの「東大への夢」を宮内庁がたしなめたとのニュースを見た。世界の若きプリンス、プリンセスは、慣習にこだわらない自由な学校選びが可能なのに。自国のあり方を外から見つめなおし、将来の王室外交に役立てるためにも、複数の外国語を習得しながら外国で学ぶ道を積極的に模索しているというのに。
「職業以外は自分で決める」
ナポレオン敗退後、ネーデルランド王国に組み込まれたベルギーが、ようやく独立して建国したのはたった190年前、1831年のこと。ドイツ・ザクセン=コーブルク=ゴーダ家から連れてこられたベルギー王室の歴史は、他国とは比べ物にならないほど薄っぺらい(現フィリップ国王が7代目)。
それゆえか、派手めでスキャンダルの絶えないモナコや英国のロイヤルファミリーと比べれば、ベルギー王室は「地味で控えめ」。そんな家風で育てられたエリザベート王女は、はにかみ屋ながら、自立心と決断力・行動力が強いという。
「私には職業は選べないから、それ以外のことは自分で決める」――。まだティーンだったエリザベート王女が友人に告げたという言葉だ。自分の意思で、ピアノやダンス、絵画、スポーツを選んだ。王室の誰よりもオランダ語が堪能で、フランス語はもちろん、ドイツ語、英語とすっかりマルチリンガルに育った。
成人(18歳)を迎えた際の式典では、国王夫妻や政府・軍要人を前に3つの国語で堂々のスピーチ。それまで子供として大事に守られてきたプリンセスの、ほぼ初めての公務デビューは、国民にいよいよわが国に「初の女王」が生まれる日は近いとの実感をもたらした。テレビに映る初々しく颯爽とした姿に、わが娘、わが孫娘の晴れ姿のように感じ、目を潤ませた国民は少なくなかったのだ。