若者にはツラい“ジョブ型雇用”制度

「ジョブ型雇用」(以下、ジョブ型)は欧米型の雇用形態で、職務に対して人をはりつけるもの。これに対し、従来の日本企業のように、長期雇用を前提のうえ、年次で業務をローテーションしながら少しずつさまざまなスキルを身につけ、ポストも上がっていく仕組みを「メンバーシップ型雇用」(以下、メンバーシップ型)と呼びます。

ジョブ型では、ポストが空くと、そのポストに必要な条件や能力が示され、社内外への公募により人を募ります。

メンバーシップ型では、例えばA支店で店長ポストが空くと、支店網から、次に店長を経験させるべき人がリストアップされ、別の支店の副店長がA支店の店長職への異動を命じられたりすることもあります。

ジョブ型のほうが職務に直結した人を採用できて、効率的だという主張が多くありますが、話はそうは簡単ではありません。そして、ジョブ型は若い人には“ツラい制度”であるという点にも注意が必要です。

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スキルアップしない労働者が増えるのは社会全体の問題に発展する

ジョブ型採用では「◯◯の職務経験3年以上」といった経験を問うものが多くなりがちです。初めて仕事に就く人は永遠にスタートラインにすら立てないこともある。そのため、若者で未経験者は無給のインターンシップや、超薄給の職場で経験を積むしかなくなるのです。その結果、若い世代の所得が下がり、雇用が不安定になり、失業率が高くなります。

また、ジョブ型では自らスキルアップする必要がありますが、若い人は給与が低く、自己投資の余裕はありません。スキルアップしない労働者が多くなるのは社会全体にとってもよいことではありません。こうした点で、ジョブ型は中間以下の管理職や一般社員の採用には向いていない可能性があるでしょう。