「昔のほうが男にとっては楽しそうじゃん」という妬み

50代以上の人たちが若者だった時、女性を採用してもいずれ寿退社するという理由から、「男」というだけで就職は有利だった。会社に入っても、女性はお茶汲みや酒のお酌をさせられたり、下ネタに付き合わされるという精神的苦痛が多かったが、男は上司に媚を売っているだけでも定年まで会社にしがみつけた。社会も寛容で、オフィスでヌードグラビアを見ることもセーフだった。

つまり、50代以上は男社会を120%堪能してきた世代なのだ。だから、女性活躍やフェミニズムという時代の変化にも、「昔はよかったなあ」と文句を言いながらも渋々受け入れることができる。しかし、50代以下、特に若い世代にとってこんな時代はドラマや漫画の世界の話だ。「昔のほうが男にとっては楽しそうじゃん」という妬みしかない。当然、この古き良き時代を壊した人々に怒りを向ける。それが、男性中心社会を否定し、#MeToo運動などを呼びかけるフェミニストの皆さんだというのだ。

非常に納得感のある説だが、個人的にはもっと本質的かつシンプルな原因もあるのではないか感じている。それは「低賃金」だ。

低賃金で虐げられた若い男性の不満の矛先

ご存じのように、他の先進国がこの30年で着々と賃上げに成功をしてきたにもかかわらず、日本の賃金は横ばいで、ついに平均賃金(年収)で韓国にまで抜かれてしまった。この常軌を逸した低賃金で最も虐げられるのが「若い男性」であることは言うまでもない。

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日本は年功序列で若者の給料はスタート時ギリギリまで安く抑えられる。また、近年増えている非正規雇用も若者が多い。令和元年分民間給与実態統計調査によれば、20代の平均年収は330万円だ。

若い男性は世代的に、恋愛や結婚に関心が高い人も多い。しかし、経済的な理由から「断念」をせざるを得ない人々もたくさんいる。そこで想像していただきたい、このよう人々の行き場のない怒り、不満がどこへ向かうのか。

若者ばかりに低賃金を強いる社会へ向けられるかもしれない。たいして仕事もしないのに年功序列で高い給料をもらう祖父・父親世代が悪いという発想になるかもしれない。しかし、その中には「女性活躍推進」や、「男女平等」を声高に叫ぶフェミニストに憎悪を募らせる若い男性も現れるのではないか。