在宅でも対面でも仕事がデキる人はできる、デキない人は…

このコミュニケーション不足に関しては会社も対策を講じている。労働政策研究・研修機構が実施した大手企業14社のヒアリング調査結果(『テレワークコロナ禍における政労使の役割』)によると、コミュニケーション不足対策として、例えばある企業(電気・電子機器、ソリューションなど)の担当者はこう述べている。

「チームの生産性にはコミュニケーションが重要であることに気づき始めた職場もあり、オンラインによるランチ会や、朝夕礼時に積極的に雑談したり、企図してコミュニケーションの時間を確保したりしようとする取り組みが見られ、会社としても推奨している」

一方、ある食品製造業の担当者は皮肉を込めてこう語っている。

「テレワークで仕事がうまく進まなくなったと言ってくるような人や部署には、新型コロナウイルス感染症の問題発生前から、もともと上手くいっていなかったようなところが多い。いわば、たまたま水が引いた結果、底が露呈したような状態。そうしたマネジメントが相談にきたら、昨年から始めた(部下と管理職の)1on1ミーティングのあり方などを研修するむしろチャンスだと捉えている」

つまり、コロナ前からコミュニケーション下手な人がオフィス勤務時代はなんとかなっていたが、対面からオンラインに変わって仕事のまったく進まない人が炙り出されたとの指摘だ。テレワークで効率が落ちたというより、もともと効率が低い人がテレワークで自分の実力を再認識した可能性もある。

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コミュニケーション下手な人とは実際にどんな人か。IT企業の人事部長はこんな事例を紹介する。

「チームリーダーの中にもコミュニケーション下手な人は少なくありません。たとえば、メンバーに『リモートワーク中は常にオンライン状態にしておけ』という人がいる。それで『どうしてすぐに電話に出ないんだ、就業時間中だろう』と畳みかけてくる。こういうやり方をマイクロマネジメントと言うが、これではメンバーも含めてチームの生産性が上がるとはとても思えない。当社はリモートワークに際して、個々の社員の自由度や裁量性を高めることで全体の生産性を上げようとしているが、いまだにオフィス勤務時代を引きずっている人も少なくない」

逆に、生産性を上げているリーダーは仕事でどんなコミュニケーションをしているのか。

「コロナ以前からコミュニケーションの総量が多いリーダーはオンラインになってもツールの使い方がうまい。相手の状況を考えて、ビジネスチャット、電話、対面を適切に使い分ける。そもそも仕事はまず目標があり、それに基づく計画に沿って進捗管理が定期的に行われていれば問題はないはずだ。どんなミッションを持ってどんな成果を出すのか、明らかにしておけばどこで働いていようが構わない。週に一回ぐらいコミュニケーションをとることにして、たまにイレギュラーな問題が発生したら、そのときには連絡するよと言っておくことが大事だ」