「普通、介護は嫁の役目でしょ」

「自分の世話は嫁にさせて当然」という義父の態度にも不満だったが、それを伝えても「どこの親もそんなもんでしょ」と受け流す夫のリアクションにも腹が立つばかりだった。

Mさんがキレたのは、「最近、やたら機嫌が悪いし、家事の手抜きが多くない?」という夫のひと言がきっかけだった。「親の介護を私に押しつけておきながら、家事や育児にはノータッチ。それでいて、感謝の言葉すらなく文句を言ってきた夫に対し、イライラがピークに達した」。

それでも、Mさんは冷静に、夫と子供の朝食の支度と保育園に送っていくことだけでも負担してほしいと相談したところ、即座に却下。「普通、介護は嫁の役目でしょ。お前がバイトを辞めればいいだけの話だろ?」と一蹴されたという。「その言葉を聞いて、『あ、私はこれ以上もう無理だわ』と悟った」というMさんは現在、義父に施設に入ってもらうか、離婚をするかの二択で夫と話し合いを進めているところだ

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ひきこもりがちな思春期の息子、持病が悪化した義父…

【CASE2】「妻と息子」より「自分の両親」と住むことを選んだ夫

「人生に『もしも』はないと言うが、『もしも、介護さえなければ』と思わざるを得ない」と話すのはTさん(52歳)。職場で知り合った1歳年下の会社員の夫とは、今年で結婚15年目になる。夫婦には、小学校の終わり頃から不登校になり、毎日自室にこもりがちな息子がひとりいる。思春期に入り、難しい時期を迎えようとしている今、Tさんの心配の種でもあるという。

そんなTさんに、もうひとつ深刻な悩みが増えたのは半年前からだ。きっかけは、夫の父親の持病が悪化したという連絡が母親からあったことだった。「夫は遅くにできた待望のひとり息子だったこともあり、両親に溺愛されて育ったと聞いている。年老いた両親のことが心配な気持ちも理解できたので、『しばらく実家にいてあげたら?』と私のほうから提案したのは事実」。

妻からのすすめもあって、Tさんの夫は介護休暇を取得。しばらく実家の両親のもとで暮らしていたものの、父親の体調が落ち着いてきたタイミングで職場復帰を果たした。