「誰が選ばれるか」命運を分けるのは“選挙方式”
その質問に答える前に、今度は第3の方法を探してみましょう。
フランスのように決選投票をやってみましょうか。
決選投票では、1回目の投票で誰か過半数を得たら、それ以上は結果が変わらないので、さらに投票する必要はありません。
しかし、誰も過半数を得られない場合はどうするか。その場合は3位以下の候補を除いて、1位と2位で決選投票をします。
ここでは選好度表があるので、もう一度投票をする必要はありませんね。
では、決選投票をしたら、まず誰が落選しますか?
決選投票方式では1位だけを考えるので、他の選好度順位は考慮せず、C、D、Eが落選してAとBが決選に残ります(図表3)。
C、D、Eを除いた選好度表を見ると、ほとんどの場合でAよりBの方が上位に来ています。すると、37:18の大差でBが勝つことになります。
ボルダ方式では絶対に勝てなかったBが、ここでは圧勝です。
決選投票をもう少し緻密に発展させた「徹底投票」という方法もあります。
徹底投票とは、過半数を得た候補がいなかった場合、3位以下の候補をすべて除外するのではなく、最下位の候補だけを外しておいて、残った候補でまた投票をする方式です。
誰かが過半数を得るまで、それを繰り返します。では、徹底投票制では誰が選ばれるでしょうか?
この場合、選好度表でいったん誰が1位を多くとったかを見ます。最初のラウンドでは、1位が6票と最も少なかったEが除外されます(図表4)。
第2ラウンドでは、Eを消した場所に次の順位の者が1位に上がるので、1位の票数が変わります。
Aが18票、Bが16票、Cが12票、Dが9票となりますね。今度はA、B、Cが残りますから、図表5のような結果になります。
Aが18票、Bが16票、Cが21票となり、かなりはっきりしてきましたが、まだ誰も過半数に達していないので、終わりにはなりません。そこでBを除外すると、Cが勝つことになります。
こうしてみると、投票方式ごとに結果がかなり違いますね。図表17最も一般的な多数決方式ではAが勝ち、ボルダ方式ではD、決選投票ではB、徹底投票ではCが勝ちます。最初に目星をつけたEはまだ一度も勝っていません。