ユーチューバーはうまくいかない

では、子どもがユーチューバーに好奇心を持ったらどうするか?

2ちゃんねる創設者のひろゆきさん

正直、すでに有名人まで参戦している分野で、結果を出すのは難しいです。世間が興味を持っていなかった5年前ならいざ知らず、いまからユーチューバーになっても抜きん出て「うまくいく」可能性は低いと思います。

ただ、ここで気をつけなければいけないのが、怒ったり止めたりすること。子どもは本来、無理やり何かをさせなくても勝手に好奇心を持って遊びます。

それを怒られたり止められたりすると「好奇心を満たそうとすると親が怒る」と因果関係を勝手に理解し、無意識に好奇心を満たす行動を抑制するようになると思うのです。

たしかに、うまくいくための好奇心を育むには多くの人が実践することに興味を持つことではなく、多くの人が興味を持ってない分野に勝手に興味を持つことが必要です。ミーハーな親からはなかなか生まれないかもしれませんが、それでも頭ごなしに止めるのではなく、ある程度のゆるさを持った頑張りすぎない躾で、子どもの好奇心を見守るというのはスゴく大切なことなのではないでしょうか。

お金持ちでない親を持った子どもにとって、好奇心と行動力は「人生がうまくいく」ためには重要な要素です。親が「興味を持てない」「嫌い」とか「周りと違うから」という理由で、子どもの好奇心や行動を妨げないようにしたほうがいいのです。

「好きなことで生きていく」99%は負け組になる

「好きなことで生きていく」というフレーズが流行っていますが、最近この言葉が独り歩きしている気がします。

単に面倒くさい勉強や、やりたくもない仕事から逃げる言い訳として「好きなことで生きていく」を使っていて、高卒の親が「自分はなんとかなったから子どもも大丈夫」と時代の変化がわかっていないパターンや、大卒なだけに高卒のハンデに気づいていないパターンで、子どもを大学に進学させなくていいと考える人がいます。

そもそもスポーツ選手と芸能人以外では、社会的地位のある人のほとんどが大卒です。生涯賃金も高卒と比べて4000万円近く多いのが現実です。もちろん、子どもが夢を持って好きなことを仕事にしたい、と考えるのは悪いことではありません。

しかし例えば、好きな野球だけを続けても、将来プロ野球選手になれるのはごく少数です。2016年の小学生野球少年は推定18万人という調査がありますが、プロ野球の1軍登録選手は12球団で348人。つまり、プロ野球選手になれるのは1000人に約2人で、活躍できる選手ともなれば1万人に1人です。99.99%の人は「好きなことで生きていく」ことはできない敗者として人生を歩むことになります。

「好きなことで生きていく」がすべて間違いとは思いませんが、努力ではどうしようもない才能や遺伝が必要な分野に、「好き」という理由だけで邁進するのは間違っていると思うのです。