鍵になるのは、イベント参加券が単独で商品として成立しているかどうかだ。単独商品として市場性があるなら、イベント参加券はCDのおまけとはいえず、抱き合わせ商法と判断される恐れがある。

実態はどうか。21枚目のシングル「Everyday、カチューシャ」のCD価格は1600円だったが、特典としてついていた投票券はネットオークションで1枚980円の値がついていた。それだけの値段がつくのだから、どちらがおまけなのかわからない。イベント参加券が商品として流通していることは、もはや動かし難い事実だ。

しかし、荘司弁護士は慎重な見解を示す。

「先に単独の商品として存在していたイベント参加券に、あとからCDをつけてセットにしたら、公取に抱き合わせ商法と判断される可能性は高いでしょう」

しかし、ネットで流通したのは後から。加えて、レコード会社がイベント参加券の転売対策を行い、流通すべきものではないという姿勢を示しているのであれば、「スレスレのところでセーフ。独占禁止法違反とは言い切れないと思います」(荘司弁護士)

考えてみると、CDにイベント参加券などの特典をつけているアーチストはほかにも大勢いる。その中でAKB48が槍玉にあがるのは、人気者ゆえの宿命なのかもしれない。

(PANA=写真)
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