そして、子供が上の学校に進学するなどの節目のときに、「返済を早めても大丈夫だ」と思えるなら、繰り上げ返済をして返済期間を短くするのだ。もちろん、「負担が少なくて楽だから」と、返済期間をそのままにしてはいけない。最終的には60~65歳で返済を終えるようにすべきだ。

なかには、「正社員で安定しているから、そんな心配はいらない」と考える人もいるだろう。だが、大企業でさえ安住の地ではなくなっている。誰にでも収入減の可能性があることを覚悟すべきだ。


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では、賃貸という選択肢はどうか。民主党政権では、賃貸生活者への優遇策も打ち出そうとしている。今後、賃貸生活者が増えた場合、今のように「高齢者には貸さない」ことはできなくなるだろう。

また、働き方によって、賃貸がいい場合と持ち家がいい場合もある。例えば、終身雇用が事実上保証されている人や、自営業者で持ち家を事務所にすることが節税につながる人などは、家を持ってもいい。だが、転職を繰り返すような場合は、長期の負債は抱えるべきではないから、むしろ賃貸のほうがいいかもしれない。

40歳といえば、人生の折り返し地点。老後の生活を考えはじめる時期でもある。今の経済情勢を考えると、定年後、年金だけでは暮らすことはできないだろう。年金に期待するよりは、70歳位まで働き続けることを考えたほうが現実的だ。そのためには、家を買うよりは、むしろ自分への投資を増やすことも必要だろう。

家を買う時期を今ではなく、30年後にする選択肢もある。今後、人口が減ることを考えれば、住宅需要も減り、住宅価格も今より下がる可能性があるからだ。また、老後、夫婦2人の生活になった際に、適切なサイズの家を買うこともできる。「40代だから家を買う」は、もはやナンセンス。経済状況という現実を考えれば、家を買うよりも、自己投資したほうが、今は有益かもしれない。

※すべて雑誌掲載当時

(大山弘子=構成 的野弘路=撮影)