ハーバード大学教授が教える最も簡単な瞑想方法

先程のマインドフルネスの方法も割と取り入れやすいかもしれませんが、瞑想を最も簡略化した一番簡単な方法は、「ただ深呼吸をしてみる」ということです。

私は、2015年に、ハーバード大学の「Mind-Body Medicine」という講習会に出たことがあります。瞑想の科学的な研究の紹介(先程紹介した脳の中で起こっている変化など)や、瞑想法の紹介、睡眠に関してなど、丸3日かけて講義を受けたりディスカッションをするというものでした。

その中でも、特に印象に残っているのが、ハーバート・ベンソンというハーバード大学教授の講義でした。高齢なので、杖をつきながら壇上に現れたのですが、出てきて一番初めに一言。

「さて、皆さん、いきなりですが、私の講義を始める前に、やってほしいことがあります。腰掛けたまま力を抜いて……目をつぶって……深呼吸を3回してください」

と言い、その後、教室に静かな時間が30秒ほど経ったところで、

「はい、おしまい。では、やる前よりも気持ちが落ち着いた人、手を挙げて。……ほとんど挙げてくれましたね。皆さんが効果を実感してくれたようなので、私の授業はこれでおしまい。これからは1時間蛇足を話します」

と、とてもインパクトのある講義をしていました。

アップルウォッチに呼吸のアプリが入っているワケ

受講前の私は、「これから出てくるのはハーバード大学の教授だし、さも難しいことを話すだろうから、置いていかれないようにしなきゃ」と気を張っていたのですが、こんな感じで講義が始まったので、びっくりしたのを覚えています。

ここで、「深呼吸をするだけでも良いんだよ」という強いメッセージを教授は発したかったのだと思います。

また、単純な深呼吸をすすめるのはこの話に限ったものではありません。最近、私はApple Watchを買ったのですが、そこで「呼吸」というアップル純正のアプリがありました。どんなアプリかというと、ただ丸が大きくなったり、小さくなったりを繰り返して、それに合わせて深呼吸をしてね、というシンプル極まりないアプリなのです。シリコンバレーなど、仕事が忙しくてピリピリしているところほど、こういったマインドフルネスの広がりが大きいという話も聞いたことがあります。

写真=iStock.com/hocus-focus
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職場などで、15分ほど時間をとって瞑想するのは難しいかもしれませんが、目をつぶって30秒深呼吸するのは、案外取り入れやすいのではないかと思います。