お年玉も親に渡してしまう

「中学校の修学旅行へ行ったとき、帰ってきた翔平は家族にお土産を買ってきてくれたんですが、そのお土産代以外は使わずに、残ったお金を私たち親に返してきたんです。普通ならお小遣いとして渡したお金を使い切るとか、その後のお小遣いとして自分で持っておくものだと思うんですが、返金してきたときは、ちょっと驚きましたね。翔平は無駄なことには『お金をかけなくてもいい』と思うところがあるみたいで。

佐々木亨『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』(扶桑社文庫)

お年玉も、そのときに使う予定がなければ『持っていて』と私たちに渡していました。結局そのお金で買うのは野球用品。野球以外には興味がないというのはあったんでしょうけど、翔平にはそういうところがあるんです。

服装にしてもそうでしたね。野球を始めてから土日は野球ですし、私服を着る機会がほとんどなかったですから興味が湧かないのはわかるんですが、それにしても服装に関しては……。高校に入ってからも変わりませんでしたね。お正月休みに実家に帰ってきたときは、『洋服がないね』って、家にあるものから何となく自分が着られそうなものを見つけたり。あるときなんかは、友達と出掛けることになって着るものがないとなり、お兄ちゃんのジーパンと私のポロシャツを手にして『これでいい』と言って出掛けたこともありました」

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