わが子を東大に入れる読み聞かせの極意 2「子供を存分に楽しませる」

もうひとつの極意は、これまでにもすでに触れていることですが、「子ども自身も読み聞かせをとても楽しんでいた」ということでした。

筆者・布施川天馬さんの新刊『東大式時間術』(扶桑社)

先ほどのTさんや、僕自身も母の「読み聞かせ時間」を毎晩とても楽しみにしていて、自分から読み聞かせをねだっていたようですし、何度も何度も気に入った本をせがむということもあったようです。いずれの母親も、仕事や家事で疲れていたにもかかわらず、「今日はこれでおしまい」などと打ち切らずに、子供が満足いくまで付き合ってくれました。

一発逆転本』に登場する教養学部2年のMさんの家庭では、母親の本好き・活字好きが伝播して、Mさん本人も母親に負けず劣らずの本好き・活字好きになったといいます。特に彼女の活字好きの度合いは群を抜いていて、「おもてから文字が読めないから嫌だ」という理由で、紙芝居を全く読まなかったというほどです。

また、同書で紹介されている教育学部3年のTさんのエピソードも印象的です。彼女は幼稚園の頃から『かいけつゾロリ』(ポプラ社)シリーズの絵本がとても好きでした。そんな彼女のことを思ってか、両親は知恵を絞ってオリジナルの「ゾロリ」の謎解きを作ったそうです。著者がつくった物語を親子でふくらませ独自の世界を作り上げたのです。

このようにして、子供が「逆転合格」する家庭の親たちは「自らも楽しみつつ」「子供たちも存分に楽しませながら」、中身の濃い読み聞かせ時間を共有していました。

読み聞かせで子供は日本語の「文章の型」を脳にインプット

しかし、なぜこのような読み聞かせが国語力の向上に役立ったのでしょうか。

読み聞かせは、一見単純でありながら、言葉の学習においてなくてはならない役割を担っています。実は、未就学児や小学校低学年のような子供にとって、「読み聞かせ」こそが最高の学習方法なのです。

外国語学習をするにあたって一番効果的な勉強法は「とにかく多くの例文を頭にインプットすること」だと言われています。

ひと通りの単語や文法を学習したら、後は実践練習として、「覚えた単語や文法が、実際にどのようにして使われているのか」を確かめるのが、最高に効くのです。

受験英作文の指導では、初めは例文暗記から入ります。それは全く使い方を知らない外国のコトバの「型」を覚えるためです。例文を暗記することによって、「文章の型」を覚えることができます。この「文章の型」を崩さないように、単語を入れ替えたり、時制を変えたりすることによって、さまざまな表現を学ぶというのが、英作文の勉強の王道なのです。