「リンゴは赤い」基本の構文には無限の可能性が秘められている

ある人が「リンゴは赤い」という文を覚えたとしましょう。中1英語レベルのシンプルな文ですが、この構文は無限の可能性を秘めています。

親子
写真=iStock.com/yuhirao
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例えば「リンゴ」を「カラス」に、「赤い」を「黒い」に変えることによって、「カラスは黒い」という文章を作ることができます。

他にも「リンゴ」を「夏」に、「赤い」を「暑い」に変えれば、「夏は暑い」にできますし、もっとうまく、複雑に変形させれば「昔はよかった」のような、一見すると全く異なった文章を生み出すこともできます。

日本語で行う「読み聞かせ」も、この「例文学習」を時間として最適だったのです。

生まれたばかりの赤ん坊には、母国語である日本語でさえも「未知のコトバ」です。でも、われわれの外国語学習と、彼らの第一言語習得とには、全く異なった点があります。

それは、赤ちゃんにはベースとなる母国語の知識すらないということです。

当然ですが、生まれたばかりの赤ちゃんは文字が読めません。ですから、日本語を学習する手段は「音声としての日本語」と「目の前で行われている光景」とをリンクさせながら、音と意味を結び付けていくという作業に絞られます。

そういった環境下で、絵本は最高の教材となりえます。平易な言葉に、わかりやすい絵で状況が説明されているためです。もしくは、親の演技で意味を理解できることもできる。ある言葉が何を指しているのかわからなくても、読み手の親に質問すればいい。

こういった「例文のパターン学習」は、つまるところ「楽しみながら国語を無意識に学んでいた」ということになります。これこそが、東大生たちの「本好き」や「読解力がある」という能力につながっているのではないでしょうか。

「親が楽しんでやるか嫌々やるか」わが子に東大逆転合格させる極意

東大生たちが講義で使う書籍は難解なものが少なくありません。また、彼らはプライベートでも何冊もの分厚い本を同時進行で読んでいる。それは、本を読むのが好きだという思いが根底にあるからできることに違いありません。

多くの東大生が学業やバイトなどに忙しい中でも、誰にも強制されずに、あくまで自主的に「本を読む」という習慣やモチベーションの根源は、きっとこうした幼い頃の読み聞かせにあったのではないでしょうか。

東大の友人たちに「どうして本好きになったんだと思う?」と尋ねると、ほぼ全員が「親が本好きで楽しそうに読んでいたのに、つられて自分も好きになった」という返事が返ってきました。

たかが読み聞かせ、されど読み聞かせ。親が楽しんでやるか、嫌々やるか。読み聞かせに対するモチベーションを子供たちは敏感に感じ取ります。

感情移入して登場人物のセリフを読んで、作品の世界観を立体的に楽しむ。そうやって「読み聞かせ」を楽しめるよう工夫をしてみる。こうした試みが、20年後になって「わが子の東大逆転合格」という形で返ってくるのかもしれません。

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