世界ランキング1位のDJが経験した「2罰打」の悲劇

やはりメジャー惜敗を繰り返していたダスティン・ジョンソンは、2010年の全米プロの72ホール目で悲劇に見舞われた。2打目を打つ際、彼はウイスリングストレイツの中に無数に広がる巨大なバンカーの中にいることに気付かず、ベアグラウンド上だと思ってソールした。

ギャラリーに踏み固められ、ゴミまで散乱していたその場所が、まさかバンカー内だったとは誰も思わず、ジョンソンもまったく気づいていなかった。「よりによって」そんな場所に彼のボールが止まったことは、どうしようもないほどのアンラッキーだった。

ホールアウトし、サドンデス・プレーオフに挑もう、勝ち抜こうと戦意を燃やしていたジョンソンは、ルール委員から「バンカー内でソールしたから2罰打だ」と言い渡され、目の前のプレーオフ進出は、突然、かなわなくなった。

そんな「悲劇」を乗り越えたジョンソンは、今、世界ランキング1位の王座に君臨している。2016年全米オープンを制してメジャー初制覇を遂げると、昨年はマスターズを制し、メジャー2勝目を挙げた。その勢いに翳りは見られない。

今はまだ勝てそうで勝てていない畑岡にも、その迷路から抜け出しさえすれば、光り輝く未来が、きっと訪れるはずだ。

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17歳で日本女子オープンを制した畑岡奈紗への期待

畑岡の歩みを振り返れば、2016年に17歳のアマチュアにして日本女子オープンを制し、プロ転向した彼女は、2017年から米ツアーに挑み始め、2018年6月にアーカンソー選手権で初優勝。同年11月にはTOTOジャパン・クラシック、2019年3月にはキア・クラシックを制し、米ツアー通算3勝を挙げた。

鳴り物入りでプロ転向したとき、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の小林浩美会長は「畑岡奈紗は逸材ですから」と太鼓判を押し、「大きく育ってほしい」と願っていた。

母国のゴルフ界、そして大勢のファンからの大きな期待を担い、もちろん自らも勝利を目指し、メジャー優勝を渇望し、しかし、その想いがなかなか実現されない歩みは、歯痒いだろうし、悔しいだろう。

歯痒さや悔しさを噛み締めながらも毅然としていること、気丈であり続けることは、とても苦しいだろう。

もしかしたら、かつてのミケルソンがそうであったように、若干の遊び心を取り入れてみたり、ときには感情を露わにしてみたり、そうやって何かを変えてみることが、メジャー優勝への「あと一歩」の距離を埋めるヒントになるのかもしれない。