クリエーションの時代は空間から時間へ

それだけではありません。平成から令和へのパラダイムシフトは、私たちの仕事スタイルから価値観、生活まで大きな影響を与えました。それは空間から時間への軸の変化です。

平成の時代の中心であったインターネットが牽引した距離を問わないコミュニケーションは、コロナ・ショックによる完全遠隔業務でとどめをさされました。世界からすっかり距離が消えたのです。今の時代、もう空間(距離)は問題ではありません。

海外に住む知人とコストをかけずにzoomでビデオ通話ができるようになり、zoomの音声版ともいえる声だけのSNS「Clubhouse」を通して世界中の人が場所を問わずにそれぞれが好きなテーマで議論しています。

すると退屈なオペレーション(操業)の仕事を安定・高給だからと割り切って続けるよりも、手触り感のある、自分にとってストレスなくリラックスして楽しめる仕事や拠点を選んで、それに合わせて生活を変えたほうが人生の時間が豊かなのではないか、と考える人も増えるでしょう。都市から地域へと拠点を変えることで生活のコストもぐんと下がります。

写真=iStock.com/gremlin
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これからさらに、せっかくの人生の時間を自分の好きな趣味や天才性に基づいたライフワークに捧げたいと考える人が増えるのではないでしょうか?

密度の高い時間は身近で親密な人と過ごすことの大切さともつながっています。人間とは、人と人の間、と書くように、私たちの幸せは人との関係の中にしかありません。私たち一人ひとりが一緒に過ごしたい人を厳密に選ぶように、一緒に居たいと思われる人に私たち一人ひとりが変わっていく必要があるのも、クリエーションの時代の特徴です。

「強み(ストレングス)」から「天才性(ジーニアス)」へ

「昭和」「平成」を過ごした方の中には、自然と「コモディティ(汎用品)」として生きることを強いられてきているケースもあるかもしれません。

私たちとかかわった方の中には、ずっと周囲に合わせながら、一流大学に入学し一流企業に入ったものの、その期待に応えるのが苦しくなり、途中で退職された人もいます。