HISの売上高は前年の2.7%(前年比マイナス97%以上)

図表2は、先ほどの「旅行取扱状況」の直近(2021年2月)の速報値です。

JTB以下、旅行取扱上位10社までの数字を載せてあります。注意して見ていただきたいのは、前年比の数字です。最大手のJTBは非上場のため、財務内容ははっきりとは分かりませんが、業績的には前年比での売上高は、20.4%です。これは業界の中ではまだ良いほうですが、売り上げが8割減では、利益など望みようがありません。そして、少ないところでは前年比でひと桁、HISでは2.7%しかありません。これは前年比で97%以上のマイナスということです。海外旅行の取り扱いの多い阪急交通社なども大きな落ち込みです。

HISとKNT-CTホールディングスの財務状況を見ると

図表3には、HISとKNT-CTの財務内容の抜粋を載せています。

HISは2019年11月から2020年10月までの1年間、KNT-CTは2020年4月から12月までの9カ月間の数字です。

HISの場合には、当初の数カ月間はコロナの影響があまり出ていませんでしたが、後半は大きな打撃を受けました。その結果、2020年10月までの1年間で売上高は46.8%の減少、(親会社株主に帰属する)最終利益は250億円強の赤字となりました。中長期的な安全性を表す「自己資本比率」は昨年中に増資をしたこともあり、17.8%です。

直近の2020年11月―2021年1月までの第1四半期では売上高は80.5%のマイナス、最終利益は約80億円の赤字ですが、自己資本比率は16.4%でまだ安全圏にいますが、厳しい状況であることも間違いありません。