実は、失礼にあたるともう知っている

この教師は、山本先生に対し教師として言ってはいけないことを言っているのですが、そのことをよくわかっていないようです。でも、ただよくわかっていないだけなら、単に「私の言葉のどこが失礼なのか?」と聞き返すのではないでしょうか。だって、失礼だと自覚していないわけですから。

むしろ、批判された発言がたしかに失礼だ(とされている)と知っているからこそ「あれもこれも言えないとなるともう何も言えなくなる」と言ってしまうのではないでしょうか。あれもこれも言えない「となる」という言葉には、「とならない」場合への未練を感じることができますし、「息苦しい」という表現には、「あれもこれも言えない」ことの拒否の感情がにじみ出ています。男性教師は世の中の「言ってはいけないこと」ルールを知った上で、それにしたがいたくない、と発言しているのです。

私たちはすでに、性別や見た目によって「ずる」をして教師が長所を獲得した、という認識には問題があることを確認しました。ですので、「あれもこれも言えないとなるともうなにも言えなくなる」という言葉に対しては「言ってはいけないのにはきちんとした理由があるのだから、言ってはいけないのだ」と応答する必要があるでしょう。

語るべきことはほかにもあるはず

でも、ここではもう少しこだわってみたいのです。だって「あれもこれも」は教師の性別と見た目のことしか指していません。それらについて話題にしなくとも、山本先生について言えることは無限にあるはずです。「何も言えなくなる」なんて、いくらなんでも大げさすぎないでしょうか。

生徒への言葉づかいは丁寧なのか気さくなのか、担当する教科に関する知識はどのくらい豊富なのか、授業の進め方にはどんな特徴があるのか、……などなど、語るべきことはいくらでもあります。

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