社長就任で、収入は前職の3分の2程度に減った

——ホーリーホックには自前のスタジアムを建設する計画もあるそうですね。

そうなんです。売上7億5000万円のクラブが、100億円のスタジアムを建設しようとしているんです。なに夢みたいなことを語っているんだ、と本気にしてもらえないかもしれません。でも、私はよく使う言葉があります。

できっこないことをやらなくちゃ――。

私はもともとサッカー好きが高じてライターになりました。まさかライターがJクラブの社長になるなんて、誰も思わなかったはずです。

社長就任後、「けっこう稼いでいるんでしょう?」と聞かれる機会が増えました。

実際は、映像制作会社時代の3分の2程度に収入が減りました。しかしクラブが成長すれば、これから私だけでなく、選手やスタッフの給与も上がっていくわけでしょう。社長の給与が1000万円になり、5000万円になり……とどんどん増えていく。そう考えると夢がある仕事だな、と感じます。

どんなに時間がかかっても「J1優勝」は達成したい

ホーリーホックの当面の目標はJ1昇格です。その後はJ1に踏みとどまり、天皇杯やルヴァンカップで決勝に進出する。その後はJ1上位に入り、アジア・チャンピオンズ・リーグも経験する。やがてJ1で優勝争いを演じる……。

すべてを実現するにはもしかしたら30年くらいはかかるかもしれない。私は生きていないかもしれません。でもどんなに時間がかかろうともJ1優勝という目標は達成したい。

責任企業を持たない市民クラブでも、J1優勝が可能だと証明したいんです。そして、ファンサポーター、ホームタウンの方には、そのプロセスを一緒に追いかけて、ホーリーホックの歴史やストーリーを共有してほしい。子どもたちも、タクシーの運転手さんも、ラーメン屋のおばさんも、ホーリーホックの話題で盛り上がる。そんな地域に根ざしたクラブに育てていきたい。それが、Jリーグの、いえ、プロスポーツチームが持つ魅力だと思うのです。

(聞き手・構成=ノンフィクションライター・山川 徹)
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