「転売ヤー」対策はどうしているか

インターネット取引が盛んになるにつれて、数量限定などの人気商品を手に入れて高値で転売を図る「転売ヤー」の対策に、各社が苦労するようになった。

スタバも例外ではない。2016年シーズンは、東京・二子玉川の店舗で先頭グループが福袋108個をすべて買い占め、後続の人たちが手に入れられない事態になった。顧客の怒りは従業員にも向けられ、同社は翌年に購入数を制限する措置を導入。18年からのオンライン事前抽選はこうした転売ヤーを排除する狙いもあった。

それでもなお、高値で転売する例が一部で目につく。スターバックスの考えはどうか。

「本当に欲しいと思うお客さま、スターバックスのファンの方に商品をお届けしたいという気持ちが常にあります。それも年々進化させています。例えば『お1人様1個』という個数制限を設けたほか、できるだけ多くの商品数を用意するなどしてきました。事前抽選以降は、引き換え店舗を指定することで、以前よりも転売しづらくなったと思います」

世間には「不正転売を取り締まる法律が十分でない」という声もあるが、個人売買サイト運営側とも連携しながら、商品ではなく、福袋の購入権利といった不正出品は削除してもらうような働きかけもしている。

「やはりお店に来てほしい」福袋の工夫

「スターバックスコーヒー」の国内店舗数は、最新の発表数字で1601店(2020年9月末現在)。コロナ禍でも例年通りの姿勢で、2020年も約100店が新規オープンした。

とはいえ、外出自粛ムードも続くので、「スターバックス アットホーム」も訴求する。「スターバックスの味わいをご家庭でも」のキャッチコピーを掲げて、オンライン上で訴求する取り組みだ。

だが同社の理想は、以前のように店舗を気軽に訪れてもらう状況になること。

後藤氏(提供=スターバックス コーヒー ジャパン)

「福袋を通じて、コーヒーを楽しむきっかけを訴求していますが、スターバックスにおけるお客さまとのつながりのハブは『やはりお店にある』と思っています」

こう話す後藤氏の思いが込められているのが、今回の福袋に入る「コーヒー豆引き換えカード」だ。最初に決まった豆を同封するのではなく、店に引き換えカードを持っていけば、豆の種類(対象商品には制限あり)やき方を選ぶことができる。

店舗でコロナ対策を進めつつ、「これまで通りにはいかない外出」機会を促すのだ。こうした状況と向き合いながらも、後藤氏は前向きに語る。

「コーヒーを飲む時は、ほっとする息抜きや、くつろぎの意味もあるでしょう。新しい年の始まりに、大切な人とコーヒーの時間をぜひ楽しんでいただきたいですね」

筆者の記事では時々「カフェは幸せ産業」とも記してきた。戦火に追われる国や治安の悪い地域では、落ち着いて飲食を楽しむこともできない。コロナ禍とはいえ、多くの人が「座ってコーヒーが飲める」ありがたみをかみしめる、年明けになりそうだ。

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