更なるヘイトの標的にされてしまうのではないか
「テレビで声をあげることで、自分や周囲が更なるヘイトの標的にされてしまうのではないか……」
それでも崔さんは意を決して番組に出た。そしてネット上の崔さんに対するヘイトは番組出演後、増え続けた。
崔さんはオンライン上の自分に対する1000万件を超える書き込みの中から約300件を川崎市に届け出た。だが、市がヘイトにあたるとしたのは、たった9件だった。オンライン上のヘイトは瞬く間に拡散する、また匿名で簡単に投稿できる。川崎市の取り組みは先進的だが、被害を届け出られる人が限られているなど、救済に繋がるはずの条例が機能しているとはまだ言えない。ドイツではSNS事業者に対して掲載されたヘイトなどの投稿を24時間以内に削除するように求める法律がある。
ヘイトの言葉は暴力的に、人を追い込み、襲う。当事者がその言葉の暴力を受ける前に、国や行政など然るべき組織が、スピード感を持って回避できる対策が必要である。これ以上、ヘイトの言葉を街中で子ども達に聞かせないためにも。