利息が発生するのは大学卒業後

利息が発生したとしても、民間の教育ローンと比較すると非常に低金利です。また、民間の教育ローンの場合、利用した翌日から利息が発生しますが、第二種の場合、大学在学中は利息が発生しません。利息が発生するのは大学卒業後からです。

利息は固定金利型の『利率固定方式』と変動金利型の『利率見直し方式』から選択することができます。

20年4月の利率で、前者は0.157%。後者は0.003%です。有利息とはいえ、第二種奨学金は民間の他のローンに比べ、「有利な借金」だといえるでしょう。

しかも、奨学金の返済は大学卒業7カ月目から開始されますが、所得が少なく返済が苦しい場合、月々の返済額を減らす『減額返還』や、返還を先送りする『返還期限猶予』も利用することが可能。こうした点も、金融機関にはないメリットといえます。

また、第一種利用者だけですが、所得に応じた返済金額となる『所得連動返還方式』を選択することもできます。

これは所得に応じて返済月額が決まる仕組みで、所得が少なければ返済月額は少なくなり、逆であれば返済月額が多くなるという仕組み。

教育の幅を広げられる奨学金は良いことばかりに見えますが、知っておくべきことがあります。それは「現時点で返済能力がない若者が大金を借りる」ということです。

労働者福祉中央協議会の『奨学金や教育費負担に関するアンケート調査』によると奨学金借入総額の平均は324.3万円。月々の返済額は平均1.7万円で、返済期間は平均14.7年というデータがあります。

22歳で大学卒業したとすると、36歳まで、年間20万円以上の返済が続く計算で、いくら「有利な借金」とはいえ、楽観視はできません。

むしろ、「借金を抱えた状態で社会人生活がスタートする」という点では、金銭的にはもちろん、精神的にも確実に不利です。その不利を抱えつつ、社会人を全うするためには、日頃からお金に対する正しい知識をつけていくほかありません。親として、私たちは子どもに何ができるのか、奨学金はそれを考える好機ともいえます。

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