【藤原】細かいところまで気を配っているのですね。トレーニングウエアのエピソードも興味深い。1日に練習が3回に分かれているのに、敢えて2着しかウエアを渡さなかった、という話です。ウエアが2着では休憩時間にウエアを洗う必要が出てきますよね。


優勝会見に笑顔で臨む、なでしこジャパン(PANA=写真)。

【佐々木】15歳以下のU-15の合宿での話ですね。普段の生活を通して、自ら考えて状況に対応する力を養ってほしかったんです。最初は選手おのおのが自分のぶんだけウエアを洗っていたのですが、それでは練習には間に合わない。そこで選手たちは洗濯当番を決めてウエアを洗うようになった。タイトなスケジュールの中で、どのように対応すれば目的が達成できるかを考えた結果です。これが臨機応変に対応するということです。さらに洗濯を当番制にして協力し合うことで、本当のチームワークも生まれました。

【藤原】プレーや練習以外でもかなり緻密に考えているんですね。ピッチの外からでは、そういうことは見えにくい。

【佐々木】私もおやじギャグばかり言っているわけではなく、考えながら取り組んでいるつもりなんですけどね(笑)。

【藤原】データに基づく戦略や濃やかな気遣い。なでしこジャパンの勝利も奇跡ではなく、様々なものの積み重ね、ということですね。一方で、思うようにいかないときは、どのように悪い流れを断ち切るのですか?

【佐々木】代表チームでは選手がリーグのチームに戻るときがあります。そのときに反省や勉強をしています。いろんな練習を見に出かけたり、ビデオを分析したり。低迷期を脱するためには、次の段階に対する準備をきちんと行うことが大切なのではないでしょうか。

【藤原】選手に対してサプライズを与えることもあるそうですね。練習場に行くふりをしてボウリング場に連れていったりするとか。