仲間たちで徒党を組み、意見の異なる他者を全てブロック

閉鎖的な言説空間内でのコミュニケーションを繰り返すことによって、特定の信念が増幅・強化されていく状況は、「エコーチェンバー現象」と呼ばれている。

ツイッターフェミニズムは、まさにこうしたエコーチェンバー現象の産物である。同じ信念と怒りに囚われた仲間たちで徒党を組み、意見の異なる他者を全てブロック・ミュートする。炎上に便乗して標的を攻撃することで「戦果」をあげ、内輪でうなずき合うことを繰り返す。

ツイフェミは「フェミニストと似て非なるもの」であり、その大多数は「自分が女性として・被害者として優遇されたいだけ」の存在である。非論理的かつ感情的な主張を繰り返す彼女たちは、フェミニズムの何たるかを全く理解してない……。

こうした批判は、フェミニストを名乗る人たちから、(あるいはツイフェミ同士での議論の中でも)頻繁に述べられている。

しかし、ツイフェミの言動を「フェミニストに似て非なるもの」「本来のフェミニスト思想の何たるかを理解してない人たちの妄想」として切り捨てることはできない。

名だたるフェミニストの論客も、時と場合によっては、ツイフェミと同じような言動や批判の戦術を(意識的にせよ無意識的にせよ)取っていることがある。

ジェンダーだけで全てを説明しようとしたことの副作用

坂爪真吾『「許せない」がやめられない』(徳間書店)

ツイフェミは、フェミニズムから生まれた存在であることは間違いない。フェミニストのリストから、ツイフェミだけを都合よく切り捨てることは不可能だ。

原因をジェンダーに還元するだけでは解けない問題が溢れている現実に対して、ジェンダーだけで全てを説明しようとしてしまう=ジェンダー研究自体が自己目的化してしまったことの一つの副作用が、ツイッターフェミニズムと呼ばれる動きなのではないだろうか。

論争の武器としてフェミニズムを用いる者は、いつでもツイフェミ化するリスクと隣り合わせであることは、間違いない。

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