爆破は「仕方がない」では済まされない重大な問題
次に毎日新聞の社説(6月18日付)を見てみよう。
毎日社説は「南北連絡事務所の爆破 挑発で苦境は打開できぬ」との見出しを掲げ、爆破の理由をこう説明する。
「対話路線の成果と位置づけてきた文政権への心理的な打撃を狙ったようだ」
「だが、ビラ散布は首脳会談後も続いていた。真の動機は文政権への不満だと考えられる」
「心理的打撃」と「不満」。一般的な見方の域を出ていない。新聞の社説である以上、毎日新聞らしい指摘や主張がほしい。
毎日社説は続けて書く。
「金氏は、文政権の仲介でトランプ米大統領と会談した。文氏との首脳会談も3回行い、経済協力など多くの約束をした」
「しかし、トランプ氏との会談を重ねても米国から制裁解除を引き出すことはできなかった。韓国との合意も国連制裁に阻まれ、ほとんど実現していない」
「北朝鮮が国際社会の求める非核化に応じていない以上、仕方がない。金氏が期待を裏切られたと考えているのなら、身勝手な思い込みである」
爆破は「仕方がない」では済まされない重大な問題だ。「身勝手な思い込み」というのも、北朝鮮はそういう考え方しかできない国なのだ。産経社説に比べ、毎日社説はどこか甘い感じがする。
どうして毎日社説は北朝鮮に手厳しい指摘ができなかったのか
毎日社説は指摘する。
「北朝鮮への国連制裁は16年から大幅に強化され、外貨獲得の道が次々と閉ざされた。最近は、新型コロナウイルスの影響もあって首都の市民生活まで苦しくなったと見られる。金氏には、挑発によって苦境を打開しようという思惑があるのだろう」
「韓国を挑発して苦境から逃れる」。これも北朝鮮の思惑だろうが、ここももう少し突っ込んだ指摘がほしい。
最後に「だが韓国をさらに圧迫して日米との連携を崩したとしても、状況は変わらない。金氏は、現実にきちんと向き合わねばならない」と主張するが、これも甘い。どうして毎日社説は今回、北朝鮮に手厳しい主張や指摘ができなかったのだろうか。残念である。