ピークは生後6~8カ月だが、長いと3歳まで続く

では、産後うつの原因とは?

容易に想像がつきますよね。そのひとつは睡眠不足です。十分な睡眠をとれないことが母親のメンタルヘルス・抑うつの程度を悪化させると、ほかの調査でわかっています。眠れない、眠ってもすぐ起きなければならないというのは誰にとってもつらいことですが、特にお母さんの場合は出産によって体力を使い果たしているうえ、「赤ちゃんを眠らせないと」というプレッシャーがセットになっているので、余計にしんどい状況になります。

生まれたばかりの赤ちゃんは、空腹なとき以外はあまり泣かず、その後は泣く回数も時間も増えていきます。夜泣きや夜間覚醒のたびに起きてあやすのは1日、2日でもしんどいですよね。夜泣きのピークは生後6~8カ月で、長いと3歳まで続くという調査もあります。出産後のお母さんは疲労が蓄積し、こんな毎日が果てしなく続くのではないかと絶望感を抱きます。これでは参ってしまうほうが自然なのでは、と思うくらいです。

「寝ない赤ちゃん」は決してめずらしくない

赤ちゃんは生後4カ月くらいまで1日に寝たり起きたりを何度もくり返し、そのうちにだんだんと夜に長く眠るようになります。それ以降も長時間揺り動かしたり、車に乗せたりしないと寝ないような場合は、「小児行動性不眠症」と呼ばれます。

アメリカ睡眠医学会が出している、小児行動性不眠症の診断基準を紹介しましょう。

〇入眠時関連型……寝入るのに時間がかかり、夜中に何度も目が覚めるタイプ。乳児期後半から幼児期に起こりやすい。

〇しつけ不足型……眠るのを嫌がって布団に入りたがらなかったり、一度布団に入っても出ていったりするタイプ。幼児期から学童期に起こりやすい。

「入眠時関連型っていうけど、そうでない子がいるの?」と思われた方もきっといるでしょう。そのくらいよくある、子どもの不眠ですね。赤ちゃんのわが子を夜中にあやしながら、「眠いなら寝ればいいのに」と睡眠不足の目をこすったことのない親がいるでしょうか。もちろん、私も経験者のひとりです。

子どもがどのくらい寝ないと不眠という医学的な定義はありませんが、欧米では5~20%の子どもが小児行動性不眠症だとされています。

ですから、「ウチの子だけかも」「私が親としてダメだからなのかな」と悩んでいる保護者のみなさん、寝ない赤ちゃんというのは決してめずらしくないので、まずは自分を責めないでくださいね。