選手村に喫煙所が必要なのか
国内でも厳しい禁煙対策の影響で、路上喫煙が増えた例が報告されている。大学は改正健康法で構内禁煙が義務化されたが、先行して喫煙所を撤去した一部の大学の周辺でポイ捨てが増加した。敷地内禁煙を強化すると、違法な敷地外喫煙が増加するのである。
禁煙にしたら路上のポイ捨てが増えるのだ。どう考えても分煙にして施設を整えたほうがよい。
有害物質を発生させているのは、タバコだけではない。車だって、工場だって、炭火焼肉だって、誕生日ケーキのローソクだって、線香だって、有害物質を発生させているのである。非現実的なタバコ撲滅よりも、分煙にしたほうがよいではないか。
そんな東京オリンピックに対して、9月20日に開幕したラグビーワールドカップは会場ごとに喫煙所が設置されており、実に良心的だ。「文化が違う国の人たちに吸い殻をポイ捨てされても困るので、喫煙所は必要」という開催地の自治体や、「タバコを吸わない人に配慮したうえで必要な分煙措置を準備し、周知徹底したい」という組織委の担当者の言い分は理にかなっていると思う。これによって路上のポイ捨てが減るのは喜ばしいことだ。
オリンピック・パラリンピック組織委、小池百合子東京都知事の対応は矛盾が多い。「全面禁煙」と言いながら、喫煙が許されている重要設備がある。選手村だ。
最もコンディションに配慮しているであろうアスリートが集まる選手村に喫煙所が必要なのかという疑問があるかもしれないが、タバコを吸う選手は意外に多い。体操個人総合で2大会連続金メダルを獲得した選手や、サッカーの世界的な大スター、メッシ選手もタバコを吸っている。タバコは運動能力を妨げると喧伝されているが、吸っているからこそ世界の頂点を極める人間だっているのだ。私のようにタバコがないと調子が出ない選手もたくさんいる。「選手村はタバコOK」というのは、IOCも東京都も「タバコがオリンピックアスリートへ、よい影響を与えている」と認めた形だ。観客に禁煙を強いる一方で競技場の見えない場所には「選手のための喫煙所」がつくられるのは間違いない。IOCと小池知事の二枚舌がよくわかるエピソードだ。
世界のトップクラスのアスリートだけでなく、世界各国の首脳も、ビジネスリーダーも、皆、タバコを吸っている。禁煙ファシズムが宣伝する「(タバコは)百害あって一利なし」というのは、ウソなのだ。