「シズラーは利益がちゃんと取れているのか……」

早速、サラダバーのコーナーに行ってみた。“プレミアムサラダバー”とアピールするだけあってメニューは豊富。サラダはもちろん、果物、スープをはじめ野菜を使った洋風総菜、カレー、グラタンなどがズラリと並ぶ。先述した流通ニュースによると、ポット数は55とボリュームたっぷり。東京都内で新規就農した生産者からも野菜を仕入れており、量だけではなく素材のプレミアム感もしっかり演出されている。

ステーキやハンバーグ、チキンメニューなどのグリル料理も充実している。実際にステーキを注文させてもらったが、しっかりした味わいで申し分なく、このレベルの肉料理がサラダバーにプラス1000円ほどで食べられるのであれば、コスパは相当良いと思えた。

しかし、ここで私は、シズラーは利益がちゃんと取れているのかという疑問を持った。ビュッフェ形式のレストラン全体に言えることだが、“食べ放題”の仕組みを取り入れてしまうと1人の客で2人前、3人前と食事をされてしまうリスクが出てきてしまう。特にサラダバーの場合、野菜や果物は食べられる期間が短い上に長期保存が利かない。季節によっては高騰する野菜もある。このような食材を大量に扱うビュッフェは本当に利益を出すことができるのだろうか。

人件費をかなり抑えられているのではないか

そう思って店内を見回すと、客の回転率が良いことに気が付いた。席に座って料理が出てくることを待つ必要がなく、すぐに立ちあがってサラダバーに駆け寄っていく。一般的な飲食店に比べて客が店に滞在する時間は短いといえた。

もうひとつの特徴はホールスタッフが少人数という点である。客が自分で皿を持って自分の席に持って行くのでホールスタッフの人数が最小限で済む。皿に料理を盛り付けるスタッフもいらないし、コックも事前に決められた料理を作るだけなので厨房の中は相当効率化されているはずだ。ましてサラダや果物など、切って出すだけの料理であれば、腕のある料理人を使わなくてもいいので人件費はかなり抑えられていると思われる。

もうひとつ、サラダバーで野菜を取りながら「なるほど」と思ったことがある。野菜はすべて切ったり調理したりして出されているので、野菜の形が崩れていても問題がない。つまり、自分たちがスーパーで購入しているキレイな野菜よりも安く仕入れることができているのではないだろうか。

また、一般的なレストランと違い決められた料理を作らなくていいので、野菜の仕入れ相場に合わせてメニューを変更することができるのもサラダバーの利点と言える。おそらく今日と明日ではサラダバーに並ぶ野菜や料理は違うのだろう。そう考えれば「食べられる期間が短い」「野菜は高い」という先入観は大きな間違いと言える。価格が変動する野菜だからこそ、ビュッフェ形式のほうが相場に合わせて原価率を柔軟に変えることができるのである。